インド工科大学(IIT)はインドのエリート教育機関群として名高く、その精緻な科学および工学教育はインド国内外から優秀な学生を集めています。本記事では、IITについて基本的な情報を共有したいと思います!
IITとは?
IIT(Indian Institutes of Technology)は、インドに存在する一連の技術教育機関であり、科学者やエンジニアを養成を目的に、最初のIITは1951年にインド東に位置しているカラグプールに設立されました。そこから現在に至るまで国内に合計で23校のIITが設立され、それぞれが自治権を持ちながら高い学術水準、質の高い研究、共同学習環境を提供しています。
IITへの入学は競争が非常に激しく、志願者はIIT-JEE(IIT Joint Entrance Examination)と呼ばれる入学試験に合格しなければなりません。毎年約60万人受験者がいるのに対し、合格できるのはその中でも約1万人なので合格倍率は約60倍。厳しい入学試験を経て選ばれるため、世界中のテクノロジー産業から極めて高い競争力を持つことが認識されています。
以下が23校になります(順不同)
インド工科大学デリー校(IIT Delhi):国内外で認知度が高く、研究・教育ともに極めて優れています。
インド工科大学ムンバイ校(IIT Bombay):国内最高峰のエンジニアリング研究機関で、
卓越したアカデミック環境が特徴です。
インド工科大学マドラス校(IIT Madras):深遠な学問と実践的な技術を組み合わせた教育を提供しています。
インド工科大学カナプル校(IIT Kanpur):広範で先進的な研究プログラムを備えた大学で、特に科学と工学に力を入れています。
インド工科大学カラグプル校(IIT Kharagpur):インドで最初に設立されたIITで、多岐にわたる専門知識を誇っています。
インド工科大学ローディ校(IIT Roorkee):工学、応用科学、管理学の教育と研究に力を入れています。
インド工科大学グワハティ校(IIT Guwahati):先進的で革新的なリサーチと研究プロジェクトを持つ、北東部の重要な学術機関です。
インド工科大学ハイデラバード校(IIT Hyderabad):新進のIITで、その革新的なアプローチと現代的なカリキュラムが特徴です。
インド工科大学パルデシュ校(IIT Patna):技術と研究のための統合されたプラットフォームを提供しています。
インド工科大学ガンダーナガル校(IIT Gandhinagar):社会との関連性を重視する独自のアカデミック哲学が特徴です。
インド工科大学ボンベイ校(IIT Bhubaneswar):持続可能な開発と技術イノベーションに焦点を当てています。
インド工科大学インドール校(IIT Indore):素晴らしい研究設備と卓越した教員陣が特徴の一つです。
インド工科大学マンディ校(IIT Mandi):山間部に位置し、地域の発展に重点を置いた教育を行っています。
インド工科大学ジャムシェードプル校(IIT Jammu):新たに設立されたIITで、近代的なキャンパスと学際的な研究を備えています。
インド工科大学ゴア校(IIT Goa):持続可能な技術と環境科学の研究を行う新進の大学です。
インド工科大学バトーダ校(IIT Bhilai):学生主導の研究と教育に力を入れている新設校です。
インド工科大学ドゥハル校(IIT Dharwad):エンジニアリングと技術に焦点を当てた新設のIITです。
インド工科大学パリ校(IIT Palakkad):持続可能な技術と地域開発に取り組んでいます。
インド工科大学チェンナイ校(IIT Chennai):チェンナイ校とマドラス校は同一のものと
考えられるため、上述のマドラス校のコメントが適用されます。
インド工科大学チュラプラディ校(IIT Tirupati):新設校でありながら、革新的な教育プログラムと研究を展開しています。
インド工科大学ダカネシュワリ校(IIT Dhanbad):鉱業と地質学に特化した古い歴史を持つ大学です。
インド工科大学ジョーダープル校(IIT Jodhpur):技術と研究に対する革新的なアプローチを持つ大学です。
インド工科大学ティルチラーパッリ校(IIT Tiruchirappalli):エンジニアリングのさまざまな分野で優れた教育と研究を提供しています。
教育体制
IITの教育体制は、その厳格な入学試験からもわかるように、非常に競争的な環境にあります。学生は、自分たちの知識と技術を最大限に引き出すための厳しいカリキュラムに従って学びます。また、IITでは、学生が自分たちの専門分野で最新の研究を追求できるように、研究所やラボの設備も充実しています。
IITの教育体制の特徴の一つは、産業界との強いつながりです。学生は、実際の業界での経験を積むためのインターンシップの機会を多く提供しています。理論だけでなく、実際の業界での問題解決の経験も得ることの重要性を教育に取り入れています。
カリキュラム
IITのカリキュラムは、科学、工学、人文科学など、多岐にわたる分野をカバーしています。学生は、基礎科目から始め、学年が進むにつれて専門的な科目に進むことができます。
IITでは、将来的に需要の高まる分野に重点的に取り組んでいます。例えば、IITハイデラバード校は2019年にインド初で世界的にも珍しいAI(人工知能)学科を設置しました。これにより、学生は最先端の技術を学ぶことができ、その知識を活用して新たな技術を開発する能力を身につけることができます。
また、IITでは、学生が自分たちの専門分野で最新の研究を追求できるように、研究所やラボの設備も充実しています。これにより、学生は理論だけでなく、実際の業界での問題解決の経験も得ることができます。
IITのカリキュラムは、学生が自分たちの興味や専門分野に合わせてカスタマイズすることができます。これにより、学生は自分たちの興味や目標に最も合った学習経験を得ることができます。
IIT学生の感情的知性(EI)
感情的知性(Emotional Intelligence)は、自分自身と他人の感情を理解し、管理し、適切に利用する能力を指します。この概念は、1990年代初頭に心理学者のピーター・サロヴェイとジョン・マイヤーによって初めて提唱され、その後、ダニエル・ゴールマンによる1995年のベストセラー書籍「Emotional Intelligence」で広く知られるようになりました。
感情的知性は以下の5つの主要な領域から成り立っています:
自己認識:自分の感情を理解し、それが自分自身の行動や思考、そして他人との関係にどのように影響を与えるかを認識する能力。
自己管理:自分の感情を適切に制御し、それが自分の行動や反応に悪影響を及ぼさないようにする能力。
社会的認識:他人の感情や気持ちを理解し、共感する能力。これには、非言語的な手がかりを読み取る能力も含まれます。
関係管理:他人との関係を構築し、維持する能力。これには、他人の感情を考慮に入れながら、効果的にコミュニケーションを取る能力も含まれます。
自己動機:自分自身を前向きに保ち、目標に向かって努力し続ける能力。
IITの学生の感情的知性(EI)は、彼らが他人と容易に関わることを助ける重要な能力として認識されています。EIとIQ(Intelligence Qotient)を組み合わせることで、職場でのスター・パフォーマーとなることができます。そのため、学生はEIとIQの両方を持つ必要があります。IIT(ISM)ダンバッドの学生のEIレベルを評価するための記述的な研究が行われました。その結果、IIT(ISM)ダンバッドの学生は高い感情知能があることが明らかになりました。EIとIQどちらも持っているIIT学生を求める理由がよくわかります。
IITのロボットハンドの開発
IITでは、単一のアクチュエータによって駆動され、低コストで3Dプリント可能な、腱駆動型のアンダーアクチュエーションロボットハンド、BRL/Pisa/IIT(BPI)SoftHandが開発されています。このロボットハンドは、さまざまな掴み取りタスクを実行することができます。新しい関節システムと腱のルーティングを設計することで、耐久性、手頃な価格、掴み取り性能のバランスを取ることができます。このロボットハンドは、複雑な幾何学的形状を適応的に保持することができ、成功したソフトおよび適応的なシナジーの採用を反映しています。
IITの影響力
IITの影響力は、インド国内だけでなく、国境を越えて大きな影響を与えています。その証拠として、世界的なテック企業の社員にはIIT出身者が多く在籍しています。例えば、グーグルのCEOであるサンダー・ピチャイ氏や元ツイッターのCEOであるパラグ・アグラワル氏はいずれもIITの卒業生です。また、世界的なユニコーン企業の創設者やキーパーソンにも、多くのIIT卒業生がいます。彼らはイノベーションを推進し、新しいビジネスモデルを創出し、テクノロジーの進歩を牽引する役割を果たしています。
さらに、IITの卒業生は、グリーンテクノロジーイノベーションの推進にも大きな役割を果たしています。これは、気候変動への対策として、炭素排出量を削減するための新しい技術や方法を開発することを指します。例えば、中国では、IITの卒業生が主導する企業が、総要素生産性(TFP)の向上に貢献しています。これは、資源の効率的な利用を通じて、経済成長を達成するための重要な指標です。
また、IITの卒業生は、新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックによる影響に対応するための新しい技術や方法を開発することで、旅行や観光業界にも影響を与えています。これにより、業界はパンデミックの影響を最小限に抑え、持続可能な開発を達成することが可能になっています。
これらの事例からもわかるように、IITの卒業生は、様々な産業や分野でイノベーションを推進し、世界中に大きな影響を与えています。そのため、IITの影響力は、単に卒業生が活躍する企業や業界だけでなく、社会全体に及んでいます。
まとめ
IITは一連のエリート教育機関としてその存在感を放っています。厳格な入学試験を突破した優秀な学生たちは、広範な学問領域での学術的・実践的な経験を積むことが可能です。IITの卒業生たちは全世界で高い評価を受け、産業界や研究機関で重要な役割を担っています。IITはインドの科学技術発展における重要な役割を果たし、その影響力は今後さらに広がっていくでしょう。
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引用
Emotional Intelligence Levels of IIT Students in India
BRL/Pisa/IIT SoftHand: A Low-Cost, 3D-Printed, Underactuated, Tendon-Driven Hand With Soft and Adaptive Synergies
Tourists’ Health Risk Threats Amid COVID-19 Era: Role of Technology Innovation, Transformation, and Recovery Implications for Sustainable Tourism by Zhenhuan Li, Dake Wang, Jaffar Abbas, Saadat Hassan, Riaqa Mubeen
The Impact of Green Technology Innovation on Carbon Emissions in the Context of Carbon Neutrality in China: Evidence from Spatial Spillover and Nonlinear Effect Analysis by Shihong Zeng, Gen Li, Shaomin Wu, Z. Dong
Research on the Impact of Green Technology Innovation on Energy Total Factor Productivity, Based on Provincial Data of China by Mengxin Wang, Yanling Li, Gaoke Liao
Environmental Regulation, Government Subsidies, and Green Technology Innovation—A Provincial Panel Data Analysis from China by Pei-zhi Wang, Cong Dong, Nan-Hwa Chen, Ming Qi, Shucheng Yang, Amuji Bridget Nnenna, Wenxin Li
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